
俳優の本木雅弘さん(60)が主演したNHK・WOWOW共同制作のドラマ『八月の声を運ぶ男』が、世界の優れたテレビ・ラジオ番組に贈られる「第78回イタリア賞」テレビ・ドラマ部門で最優秀賞を受賞しました。授賞式は現地時間10月2日にイタリア・ラクイラで行われ、NHKが10月5日に発表しています。
本木さんは「ひとつのドラマ作品が国境を越えて人の心に語りかけ、そして通じ合うという事実に大きな救いと温もりを感じます」と喜びをコメント。どんな作品で、なぜ世界で評価されたのかを、分かりやすくまとめますね。
『八月の声を運ぶ男』がイタリア賞を受賞|何がすごいの?
まずは、受賞のポイントを整理します。
- 賞:第78回イタリア賞 テレビ・ドラマ部門 最優秀賞
- 授賞式:現地時間10月2日(日本時間3日)、イタリア中部の都市・ラクイラ
- 作品:『八月の声を運ぶ男』(NHK・WOWOW共同制作、2025年8月13日放送)
- 主演:本木雅弘さん
- 演出:柴田岳志さん
イタリア賞は、イタリアの公共放送RAIが1948年に創設した国際コンクールです。世界でも特に歴史と権威のあるコンクールの一つとして知られています。
今回は52か国から226番組の応募があり、ラジオとポッドキャスト、テレビ、デジタルの各部門で、17か国19の放送局が最終選考に残りました。テレビ・ドラマ部門のファイナリストは、本作のほか、フランスの公共放送フランス・テレビジョンの『ローラのトリートメント』と、スカイイタリアの『M-世紀の息子』。強豪がそろう中での最優秀賞です。
(出典:日刊スポーツ(Yahoo!ニュース)、スポーツ報知(Yahoo!ニュース))
どんなドラマ?被爆者の声を集めたジャーナリストの実話
『八月の声を運ぶ男』は、NHKの戦後80年ドラマとして2025年8月に放送されました。
原案は、長崎で被爆したジャーナリスト・伊藤明彦さん(享年72)の著書『未来からの遺言―ある被爆者体験の伝記』。伊藤さんは1970年代、長崎に暮らしながら日本全国を渡り歩き、1000人を超える被爆者の「声」を録音して、未来に残し続けた人です。
ドラマの舞台は、高度経済成長のさなかにあった1972年。本木さんが演じたのは、伊藤さんをモデルにした、長崎の放送局出身のジャーナリスト・辻原保です。
- 当時は原爆の記憶がまだ生々しく、つらい体験を語ろうとする人は少なかった
- 被爆者の体験を記録する仕事は、周りからも理解されない、孤独で過酷な作業だった
- そんな中、辻原は被爆者の九野和平(阿部サダヲさん)と運命的に出会う
- 九野の語る声に心を揺さぶられる一方、その声は多くの謎にも満ちていた
時代の流れに逆らうように、ひたすら「声」を集め続けた男の物語。派手な戦争シーンではなく、声と沈黙で戦争を描いた作品なんです。
(出典:マイナビニュース)

キャストは?本木雅弘さんと阿部サダヲさんは30年ぶりの共演
主なキャストは次のとおりです。
- 本木雅弘さん:辻原保(伊藤明彦さんがモデルのジャーナリスト)
- 阿部サダヲさん:九野和平(被爆者)
- 石橋静河さん、伊東蒼さん、尾野真千子さん、田中哲司さん ほか
本木さんと阿部さんの共演は、1996年の映画『トキワ荘の青春』(市川準監督)以来、30年ぶり。スポーツ報知によると、本木さんは阿部さんを「愛すべき珍獣」と表現したこともあるそうで、2人の掛け合いも見どころの一つです。
出演者の石橋静河さんは、今まさに朝ドラ『ブラッサム』でも注目を集めていますね。朝ドラの初回視聴率や写真集の話題は、こちらの記事でまとめています。
審査員は何を評価した?「過去を決して忘れないよう促している」
イタリア賞の審査員は、本作をこう評価しました。
「人間に共通する普遍的な本質を描いている。沈黙に耳を傾け、一歩引いた視点から目の前で起きている出来事を見つめ、何よりも過去を決して忘れないよううながしている」
さらに、ジャーナリストの物語と被爆者の証言を通して、原子爆弾が人に与えた影響を探っていると指摘。記憶とは何か、記憶がどのように世代から世代へ受け継がれていくのかへの理解を深め、今も世界に暗い影を落とす核の脅威を、これまで以上に強く意識させる作品だとたたえています。
審査員は「3作品全てが重要かつ関連性の高い問題を扱っているため、非常に難しい決断でした」とも述べたうえで、最終的に「親密かつ普遍的なアプローチ」を持つ本作を選んだと説明しました。物語の中心にあるのは、戦争の生々しい描写ではなく、証言、沈黙、出会い、人間関係だ、という点が決め手になったようです。
本木雅弘さん・柴田岳志監督の受賞コメント
主演の本木さんは、受賞をこう喜びました。
「イタリアからのうれしいお知らせに喜びをかみしめています。ひとつのドラマ作品が国境を越えて人の心に語りかけ、そして通じ合うという事実に大きな救いと温もりを感じます。この先も、より多くの皆さんの元へ届くことを期待しております」
演出の柴田岳志さんは、授賞式で日本語に一部英語を交えてスピーチ。コメントでは次のように語っています。
「被爆者をめぐる物語が、日本を超えて世界の方々に伝わり、このような素晴らしい賞をいただき、心より感謝いたします。戦争が世界で拡大している今こそ、この作品が一人でも多くの人の心に届いてほしいと願っています」

国内外で受賞ラッシュ|これまでの受賞歴と映画版
実は『八月の声を運ぶ男』は、放送直後から国内外で高い評価を受けてきました。主な受賞を並べると、こうなります。
- ギャラクシー賞 月間賞(2025年8月度)
- 第63回ギャラクシー賞 テレビ部門 大賞
- 第34回橋田賞
- 第52回放送文化基金賞 ドラマ部門 奨励賞
- 第76回芸術選奨 放送部門 文部科学大臣賞(柴田岳志監督)
- ベネチアテレビ賞 テレビ映画部門 最優秀賞(海外)
- 第78回イタリア賞 テレビ・ドラマ部門 最優秀賞(今回)
さらに、放送版では見られなかったシーンを加えた映画版が、2026年8月21日に公開されています。テレビドラマが映画として劇場に広がり、そして海外の賞へ。作品が「声を運ぶ」というタイトルそのままに、どんどん遠くまで届いているのが印象的です。
本木雅弘さんのプロフィールと代表作
- 生年月日・出身:1965年12月21日生まれ、埼玉県出身
- 活動:1980年代から俳優・歌手として活動
- 主な映画:『シコふんじゃった。』『おくりびと』など
- 主なドラマ:大河ドラマ『徳川慶喜』、スペシャルドラマ『坂の上の雲』、大河ドラマ『麒麟がくる』など
『おくりびと』では納棺師を演じ、静かな所作で「命」と向き合う姿が多くの人の心に残りました。今回の辻原役も、人の声に耳を傾け、それを未来へ手渡す役。「静けさの中で人の思いを受け止める」役は、本木さんの真骨頂なのかもしれません。
私の考察|「語られなかった声」を運ぶドラマが今、世界に届いた意味
ここからは、私の個人的な考えです。
この作品が描いているのは、「つらいことほど人は語らない」という現実だと思います。だからこそ、1000人を超える被爆者の声を一人で集め続けた伊藤明彦さんの仕事は、とても重いものです。
戦後80年を過ぎ、被爆を直接体験した方から話を聞ける時間は、どんどん少なくなっています。そんな今、「声を残すこと」そのものを描いたドラマが国境を越えて評価されたことに、私は大きな意味があると感じました。審査員が「記憶が世代から世代へどう受け継がれていくか」に触れたのも、まさにそこだと思います。
そして、柴田監督が言うように、世界では今も争いが続いています。日本の、それも長崎の一人のジャーナリストの物語が、イタリアの審査員に「普遍的」と言われたこと。それは、被爆者の声が、日本だけの記憶ではなく、人類の記憶として受け取られたということではないでしょうか。
まだ見ていない方は、ぜひ一度、この“声”に耳を傾けてみてほしいと思います。
まとめ
本木雅弘さん主演のNHK・WOWOW共同制作ドラマ『八月の声を運ぶ男』が、1948年にイタリアの公共放送RAIが創設した「第78回イタリア賞」で、テレビ・ドラマ部門の最優秀賞を受賞しました。作品は、1000人を超える被爆者の声を録音し続けたジャーナリスト・伊藤明彦さんの実話がもとで、本木さんは伊藤さんをモデルにした辻原保を演じました。ギャラクシー賞テレビ部門大賞などに続く受賞で、本木さんは「国境を越えて通じ合う事実に大きな救いと温もりを感じます」と喜びを語っています。
よくある質問
『八月の声を運ぶ男』は何の賞を受賞しましたか?
「第78回イタリア賞」のテレビ・ドラマ部門で最優秀賞を受賞しました。授賞式は現地時間2026年10月2日にイタリア・ラクイラで行われました。
イタリア賞とはどんな賞ですか?
イタリアの公共放送RAIが1948年に創設した、テレビ・ラジオなどの番組の国際コンクールです。世界でも特に歴史と権威のあるコンクールの一つとされています。
『八月の声を運ぶ男』はどんな話ですか?
1970年代、日本全国を渡り歩いて1000人を超える被爆者の声を録音したジャーナリスト・伊藤明彦さんの実話に基づく物語です。本木雅弘さんが伊藤さんをモデルにした辻原保を演じました。
出演者は誰ですか?
本木雅弘さん、阿部サダヲさん、石橋静河さん、伊東蒼さん、尾野真千子さん、田中哲司さんらが出演しています。
放送はいつでしたか?
NHKの戦後80年ドラマとして、2025年8月13日に放送されました。放送版にないシーンを加えた映画版も、2026年8月21日に公開されています。
原案の本は何ですか?
伊藤明彦さんの著書『未来からの遺言―ある被爆者体験の伝記』が原案です。



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