2026年9月18日に91歳で亡くなった脚本家・倉本聰さん。その代表作といえば、やはり『北の国から』です。1981年の連続ドラマから、2002年のスペシャル『遺言』まで、21年間にわたって一つの家族の歩みを描き続けた、日本のテレビドラマ史に残るシリーズです。
訃報をきっかけに「もう一度見返したい」「名前は知っているけれど、実はちゃんと見たことがない」という方も多いのではないでしょうか。この記事では、連続ドラマ全24話とドラマスペシャル全8作、あわせて歴代9作品のあらすじと見どころを、放送データや登場人物、名場面、視聴方法とともに1本にまとめました。倉本さんへの感謝を込めて、丁寧に振り返っていきます。

この記事で分かること
- 『北の国から』歴代9作品の放送日・視聴率・主なゲストの早見表
- 各作品のあらすじと見どころ(連続ドラマ〜『2002遺言』まで)
- 黒板家の登場人物とキャスト一覧、五郎が建てた「家」の変遷
- さだまさしさんの音楽、受賞歴、ロケ地・富良野の今
- いま『北の国から』を見る方法と、初めての人におすすめの見る順番
※各作品のあらすじには、物語の結末に触れる部分があります。まっさらな気持ちで見たい方は、早見表と「見る順番」の章を先にどうぞ。
『北の国から』全作品 早見表|連続ドラマ+スペシャル8作
まずはシリーズ全体を一覧で見てみましょう。視聴率はビデオリサーチ調べ(関東地区)として公表されている数字です。(出典:BSフジ「北の国から」番組サイト、Wikipedia「北の国から」)
| 作品 | 放送日 | 話数・時間 | 視聴率 | 主なゲスト |
|---|---|---|---|---|
| 北の国から(連続ドラマ) | 1981年10月9日〜1982年3月26日 | 全24話 | 平均14.8%/最終回21.0% | — |
| ’83冬 | 1983年3月24日 | 1回 | 26.4% | — |
| ’84夏 | 1984年9月27日 | 1回 | 24.3% | — |
| ’87初恋 | 1987年3月27日 | 1回 | 20.5% | 横山めぐみ |
| ’89帰郷 | 1989年3月31日 | 1回 | 33.3% | 緒形直人 |
| ’92巣立ち | 1992年5月22日・23日 | 前後編 | 前編32.2%/後編31.7% | 裕木奈江 |
| ’95秘密 | 1995年6月9日 | 1回 | 30.8% | 宮沢りえ |
| ’98時代 | 1998年7月10日・11日 | 前後編 | 前編25.9%/後編24.8% | 宮沢りえ |
| 2002遺言 | 2002年9月6日・7日 | 前後編 | 前編38.4%/後編33.6% | 内田有紀 |
数字を並べてみると、連続ドラマのスタート時は視聴率が伸び悩み、一時は1桁台に落ちたこともあったそうです。それが尻上がりに上がって最終回で20%を超え、スペシャルになってからは常に20%超え。そして最終作『2002遺言』の前編がシリーズ最高の38.4%を記録しました。回を重ねるほど見る人が増えていったという、連続ものとしては理想的な歩みです。
作品の基本情報|なぜ21年も続いたのか
| 放送局 | フジテレビ系(制作協力:北海道文化放送) |
|---|---|
| 原作・脚本 | 倉本聰 |
| 主演 | 田中邦衛(黒板五郎役) |
| 音楽 | さだまさし |
| 演出 | 富永卓二、杉田成道、山田良明(連続ドラマ)/杉田成道(スペシャル) |
| 舞台 | 北海道富良野市(主に麓郷地区) |
| 放送期間 | 1981年〜2002年(連続ドラマ全24話+ドラマスペシャル8作) |
物語の中心は、東京から故郷の北海道・富良野に戻った父・黒板五郎と、息子の純、娘の螢。電気も水道もない廃屋から始まった暮らしを、子役が実際に大人になっていく21年間にわたって追いかけた作品です。
連続ドラマの評判を受け、スペシャルは「10年単位で子役の成長を追う大河ドラマ」というコンセプトで続けられました。演出の杉田成道さんによると、当初は1年おきの制作でしたが、純と螢を演じる2人の学業との両立や長期ロケの事情から、次第に3年ほどの間隔が空くようになったそうです。スペシャルの最後に毎回のように回想シーンが入るのは、「これが最後」という気持ちで作っていたからだといいます。
私が思う「続いた理由」は、この“毎回が最終回”という覚悟にあると思います。視聴者は純や螢と一緒に年を取り、自分の人生の節目と重ねながら次の作品を待つ。そんな見方ができるドラマは、後にも先にもほとんどありません。
主な登場人物とキャスト
シリーズを通して登場する主な人物と、演じた俳優の皆さんです。(出典:BSフジ「北の国から」、Wikipedia)
| 役名 | 俳優 | 人物 |
|---|---|---|
| 黒板五郎 | 田中邦衛 | 主人公。富良野・麓郷出身。不器用で情にもろい父親 |
| 黒板純 | 吉岡秀隆 | 五郎の長男。第1話では小学4年生の都会っ子。物語の語り手 |
| 黒板螢 | 中嶋朋子 | 五郎の長女。第1話では小学2年生。父親っ子で、のちに看護師に |
| 黒板令子 | いしだあゆみ | 五郎の妻で純と螢の母。東京に残る |
| 宮前雪子 | 竹下景子 | 令子の腹違いの妹。純と螢の叔母 |
| 凉子先生 | 原田美枝子 | 純と螢が通う分校の先生 |
| 北村草太 | 岩城滉一 | 牧場で働く青年。純と螢の「草太兄ちゃん」 |
| 北村清吉 | 大滝秀治 | 草太の父。五郎の従兄で、麓郷の開拓世代 |
| 中畑和夫 | 地井武男 | 五郎の幼なじみ。中畑木材を営む、黒板家の最大の味方 |
| 笠松杵次 | 大友柳太朗 | 麓郷の偏屈な老人。正吉の祖父 |
| 笠松正吉 | 中澤佳仁 | 純の同級生で親友。のちに螢の夫に |
| 笠松みどり | 林美智子 | 正吉の母 |
| 吉本つらら | 熊谷美由紀(現・松田美由紀) | 草太の恋人 |
| こごみ | 児島美ゆき | 五郎が思いを寄せる女性 |
| 飯田アイコ | 美保純 | ’87初恋から登場。のちに草太の妻 |
| 成田新吉 | ガッツ石松 | ボクシングジムの会長 |
| 大里れい | 横山めぐみ | ’87初恋ほか。純の初恋の相手 |
| 和久井勇次 | 緒形直人 | ’89帰郷ほか。螢の初恋の相手 |
| 松田タマコ | 裕木奈江 | ’92巣立ち。東京で純と出会う女性 |
| 小沼シュウ | 宮沢りえ | ’95秘密・’98時代・2002遺言。純の恋人 |
| 高村結 | 内田有紀 | 2002遺言。羅臼で純と出会う女性 |
ちなみに主役の五郎役には、当初さまざまな大物俳優の名前が候補に挙がっていたものの、「情けなさそうな父親像」という狙いから田中邦衛さんが選ばれたといわれています。純役の吉岡秀隆さん、螢役の中嶋朋子さんはオーディションで選ばれました。
五郎が建てた「家」の変遷
『北の国から』を語るうえで欠かせないのが、五郎が暮らした家の移り変わりです。家が変わるたびに、家族の形も変わっていきます。
| 順番 | 家 | 登場作品 | その後 |
|---|---|---|---|
| 1 | 最初の家(五郎の生家の廃屋) | 連続ドラマ | 台風で壊れる |
| 2 | 丸太小屋 | 連続ドラマ最終話〜’84夏 | 火事で全焼 |
| 3 | 離農した廃屋を直した家 | ’84夏〜’89帰郷 | 大雪でつぶれる |
| 4 | 中畑木材の資材置き場の小屋(仮住まい) | ’92巣立ち | — |
| 5 | 石の家 | ’95秘密〜2002遺言 | 五郎の終の住処に |
| 6 | 廃棄物で建てた「拾ってきた家」(雪子の家・すみえの家) | 2002遺言 | — |
電気も水もない廃屋から、自分の手で丸太小屋を建て、それを失い、最後は畑から出てきた石で家を造る。さらに晩年は、人が捨てた廃材で家を建てる。五郎の家づくりは、そのまま「お金に頼らず、自分の手で生きる」という作品のテーマそのものだと感じます。

各作品のあらすじと見どころ
ここからは、歴代9作品を1本ずつ振り返ります。あらすじはBSフジの番組サイトなどを参考に、要点をまとめています。
① 北の国から(連続ドラマ・1981〜1982年)
放送:1981年10月9日〜1982年3月26日(毎週金曜22時・全24話)/平均視聴率:14.8%
あらすじ:妻の令子が家を出て半年。東京での暮らしに嫌気がさした黒板五郎は、小学生の純と螢を連れて、故郷の北海道・富良野の麓郷に戻ってきます。住まいは、かつて暮らしていた電気も水道もない廃屋。家族で手を入れながら、3人だけの暮らしが始まります。
すぐに田舎になじんでいく螢と、どうしても東京が恋しい純。純は母に手紙を書き、東京に帰りたいと五郎に打ち明けますが、いったんは東京へ向かいかけたものの、自分の意思で麓郷に残ります。沢からパイプを引いて水を通し、風力発電で電気をともし、少しずつ「家」ができていく日々。草太と雪子の恋、偏屈な老人・杵次との関わり、分校の凉子先生、UFO騒ぎ、そして五郎が建て始めた丸太小屋。その一方で、東京に残った令子との離婚話が進み、子どもたちは母との別れを経験することになります。
見どころ:
- 純の独特なナレーション。東京の同級生・恵子ちゃんに語りかける「〜なわけで」「〜と思われ」という口調は、倉本さんが『前略おふくろ様』で使った手法を転用したものです
- 異例の1年2か月に及ぶ長期ロケ。北海道の四季が、そのまま物語の時間として流れていきます
- 子どもの目線で描かれる大人の事情。両親の不和、母の病、大人たちの噂話。純と螢がそれをどう受け止めるかが、全24話の芯になっています
最終回の放送日には、フジテレビが新聞各紙の朝刊にお礼広告を出し、視聴者からの投書は1万通を超えたそうです。後に続く20年のすべての原点なので、時間がある方にはぜひここから見てほしい作品です。
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すべての原点、連続ドラマ全24話。北海道の四季と、まだ幼い純と螢の姿をきれいな映像で見返したい方に。①から④まで分売されています。
② 北の国から’83冬(1983年)
放送:1983年3月24日/視聴率:26.4%
あらすじ:令子の葬儀から1年半。東京に出稼ぎに出ていた五郎が、年の瀬の麓郷に帰ってきます。そこへ飛び込んできたのが、純の親友・正吉の家出の知らせ。正吉の母・みどりは、しばらく息子を預かってほしいと五郎に頼みます。
ところが五郎のもとに借金取りが現れます。五郎はみどりの借金の連帯保証人になっていたのです。金を払うか、土地を手放すか。追い込まれる五郎と、事情を知って揺れる純と正吉の関係。一方、麓郷には開拓の祖の一人とされる老人・松吉が帰郷し、町は活気づきます。やがて麓郷の仲間たちが、少しずつお金を出し合って五郎を助けに来ます。
見どころ:スペシャル第1作は、「故郷とは何か」「仲間とは何か」を真正面から描いた作品です。困ったときに黙ってお金を工面してくれる麓郷の人たちと、ただ頭を下げる五郎。都会から戻った五郎が、ようやく麓郷の一員になっていく過程としても見られます。
③ 北の国から’84夏(1984年)
放送:1984年9月27日/視聴率:24.3%
あらすじ:夏、少したくましくなった純と正吉。しかし春先、2人がストーブの上に濡れた服を干したことがきっかけで、五郎が建てた丸太小屋は全焼していました。言い訳を重ねる純と、自分の責任だと名乗り出た正吉。東京から来た少年・努とのいざこざも重なり、2人の間には溝ができていきます。
やがて正吉は、迎えに来た母とともに麓郷を去ることになります。その帰り道、黒板家の3人は町のラーメン屋へ。箸をつけられない純は、この春から夏にかけて自分が卑怯で弱虫だったことを、泣きながら五郎に打ち明けます。
見どころ:シリーズ屈指の名場面として知られるラーメン屋のシーンです。閉店を急ぐ店員に、五郎が思わず「子供がまだ食ってる途中でしょうが」と声を荒らげる。父が息子の告白を最後まで聞こうとする、その一言に五郎という人のすべてが詰まっています。私はこの場面を、シリーズで一番「父親」を感じるシーンだと思っています。
④ 北の国から’87初恋(1987年)
放送:1987年3月27日/視聴率:20.5%/ゲスト:横山めぐみ
あらすじ:中学3年生になった純は、機械いじりが好きで「ペンチ」と呼ばれています。ある日、朽ちた風力発電機の前で出会った少女・大里れいに、純は一目で心を奪われます。尾崎豊の曲が好きという共通点で近づいていく2人。れいの父の計らいで風力発電機の修理に取り組む純は、東京の定時制高校に進むという道があることを知り、父に黙って巣立ちの準備を始めます。
冬、純とれいは「クリスマスの晩に、あの納屋で会おう」と約束します。ところがその日、れいの一家は町を去っていました。春、純は東京へ向かう長距離トラックに乗り込みます。
見どころ:文化庁芸術祭の芸術作品賞を受けた作品で、シリーズ完結前に行われた「シリーズ最高の名場面は?」というアンケートでは、この作品のラストシーンが1位に選ばれたといわれています。トラックの運転手が純に差し出す封筒、そこに入っていた泥のついた一万円札。父の手についていた泥だと気づいた純が涙をこぼす場面は、何度見ても胸が詰まります。この一万円札は、次の『’89帰郷』にも大切な意味を持って登場します。
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⑤ 北の国から’89帰郷(1989年)
放送:1989年3月31日/視聴率:33.3%/ゲスト:緒形直人
あらすじ:旭川の看護学校に通う螢は、同じ始発列車に乗る浪人生・勇次と初めての恋をします。一方、東京の純は髪を赤く染め、仕事を転々とする日々。お守りにしていた泥のついた一万円札をめぐって職場の先輩と衝突し、傷害事件を起こしてしまいます。
行き場を失った純は、黙って富良野の家に戻ってきます。五郎は何も聞かずに息子を迎え入れ、夜、風呂に薪をくべる純から事件の理由を聞かされます。同じ頃、螢は勇次との別れを迎えていました。
見どころ:事件の理由を「大事なものを取られたから」とだけ答える純に、五郎が返す言葉が胸に響きます。男には何と言われても闘わなければならないときがある、という趣旨のこの台詞は、息子を責めずに受け止める父の姿そのものです。螢の初恋、純とれいの再会(札幌の天窓のある喫茶店)、そしてラストの酔った五郎と中畑の背中。視聴率は33.3%と、スペシャル化してから初めて30%を超えました。
⑥ 北の国から’92巣立ち(1992年・前後編)
放送:1992年5月22日・23日/視聴率:前編32.2%・後編31.7%/ゲスト:裕木奈江
あらすじ:東京で暮らす純は、ピザの配達をしている女性・タマコと出会い、深い仲になります。やがてタマコの妊娠が分かり、彼女は一人で中絶を決断。純を訪ねてきたタマコの叔父に、上京した五郎はただ土下座を続けることしかできません。富良野に戻った五郎は、丸太小屋のために用意していた材木を売ってお金をつくり、代わりに畑から出てきた石で家を建てることを決めます。
一方、螢は勇次の勧めで札幌の病院で働く道を選び、五郎のもとを離れます。大晦日の夜、一人で石の家の作業をしていた五郎は、吹雪の中で事故に遭い、雪に閉じ込められてしまいます。
見どころ:特別出演した菅原文太さん演じるタマコの叔父が、五郎に向ける「誠意とは何か」という問い。これがこの作品の、そして後半のシリーズ全体の大きなテーマになっていきます。吹雪の夜、意識が遠のく五郎の前に現れる令子の姿も忘れられません。後編は文化庁芸術祭の芸術作品賞を受けました。ラストで純が口にする「東京はもう卒業したんだ」という一言で、物語の舞台は再び富良野へ戻っていきます。

⑦ 北の国から’95秘密(1995年)
放送:1995年6月9日/視聴率:30.8%/ゲスト:宮沢りえ
あらすじ:富良野に戻った純は、市の臨時職員としてごみ収集車に乗っています。粗大ごみの中から使えそうなものを拾っては直す純の前に、間違って捨てられた柱時計を探す女性・シュウが現れます。明るく、五郎の生き方にもすっかりほれ込んだシュウ。しかし彼女には、東京での語りたくない過去がありました。
同じ頃、螢が勤め先の医師と駆け落ちしたという知らせが純の耳に入ります。五郎は純とともに、根室・落石で暮らす螢を訪ねます。
見どころ:タイトル通り、それぞれが抱える「秘密」がテーマです。シュウの過去を知って荒れてしまう純と、それを見守る周囲の大人たち。駆け落ちした娘を前に、責める言葉を見つけられない五郎の不器用さ。宮沢りえさんのシュウは、この後『2002遺言』まで登場する重要人物になります。また、この作品からハイビジョンでの撮影が始まりました。
⑧ 北の国から’98時代(1998年・前後編)
放送:1998年7月10日・11日/視聴率:前編25.9%・後編24.8%/ゲスト:宮沢りえ
あらすじ:麓郷では、近代的な大規模経営に突き進む草太と、有機農業に取り組む若い農家とが対立していました。そんな中、螢は医師との間の子を身ごもり、一人で産み育てる覚悟を決めます。その螢に、幼なじみの正吉がプロポーズ。正吉は、どこにでも咲く黄色い花を摘み集めて螢に贈ります。
「螢をください」と頭を下げる正吉に、五郎は泣き笑いで応えます。しかしその後、麓郷を大きな悲しみが襲います。
見どころ:フジテレビ開局40周年記念として作られた作品です。正吉が歌「百万本のバラ」にならって花を集めるシーンは、不器用な男の精一杯の誠意として多くの人の記憶に残っています。そして、螢と正吉の結婚式で流される、ある人物の声を録音したカセットテープ。純と螢が初めて麓郷の駅に降り立った日からの思い出が語られる場面は、20年近く見続けてきた視聴者へのご褒美のような時間です。日本の農業が抱えていた課題を真正面から描いたことも、この作品の大きな特徴です。
⑨ 北の国から 2002遺言(2002年・前後編)
放送:2002年9月6日・7日/視聴率:前編38.4%・後編33.6%/ゲスト:内田有紀
あらすじ:螢は看護師として働きながら、一人息子の快を育てています。純と正吉は牧場経営に行き詰まり、借金を抱えてそれぞれ富良野を離れていました。純は知床・羅臼で廃棄物処理の仕事をしながら、浜の番屋で暮らしています。そこで出会ったのが、人妻の結でした。結の義父・高村(唐十郎さん)は、トド撃ちの名人で気性の荒い男です。
一方、富良野の五郎は体調に不安を覚え、「遺言」を書こうと決意。中学校の元校長に教わりながら遺言状に向き合い、人が捨てた廃材を使って家を建てる日々を送ります。やがて五郎は流氷の羅臼を訪ね、純と結、高村たちと向き合います。
見どころ:21年間の物語を締めくくる最終作。前編の視聴率38.4%は、2002年のFIFAワールドカップ中継とNHK紅白歌合戦を除けば、その年のテレビ番組で最高だったとされています。旅立つ螢と快を乗せた列車を、五郎が名前を呼びながら追いかけるシーン。そして五郎が子どもたちに遺す遺言の、お金ではなく「自然から頂戴しろ」という結び。富良野で生きた五郎の21年間が、この一通に凝縮されています。倉本聰さんはこの作品などで第21回向田邦子賞を受賞しました。
2026年8月9日、放送開始45周年を祝う富良野演劇工場のステージで、倉本さん自身がこの五郎の「遺言」を朗読していたことが、さだまさしさんの追悼文から伝わっています。さださんが「今思えばあれが我々への格好良すぎる遺言でした」とつづった言葉を知ってから見返すと、また違った重みを感じるはずです。(出典:ORICON NEWS)
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主題歌・音楽|さだまさし「北の国から〜遥かなる大地より〜」
『北の国から』の音楽を手がけたのは、さだまさしさんです。主題歌「北の国から〜遥かなる大地より〜」は、作曲もスキャットもさださん自身。歌詞のない「あー、あああああー」というスキャットだけで、富良野の大地を思い浮かべてしまう人も多いのではないでしょうか。
この主題歌や劇中曲「純のテーマ」などのサウンドトラックは、バラエティ番組で北海道のシーンに使われたり、北海道日本ハムファイターズの応援に使われたりと、今では北海道を象徴する音楽になっています。劇中のギターサウンドは、当時さださんのツアーメンバーだったギタリストの坂元昭二さんが担当しました。
倉本さんの訃報に際して、さださんは「歴史に残る名作『北の国から』の音楽を、若造の僕を信用して、ぽいっと全部任せて下さった侠気の人。大恩人でした」とつづっています。
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シナリオ本で読む『北の国から』
『北の国から』は、全作品のシナリオが理論社から刊行されてきました。倉本さんが書いた脚本がベースなので、実際の放送とは細かいところが違うのも読みどころの一つです。1993年には中学2年生の国語の教科書にシナリオが掲載されたこともあります。
2021年には、連続ドラマからスペシャルまでを集大成した全3巻が刊行されています。映像で見た場面を、倉本さんの言葉そのもので読み返すと、ト書きの一行一行に込められた思いが伝わってきます。
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年表で見る『北の国から』の45年
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1977年 | 倉本聰さんが富良野市に移住 |
| 1981年10月 | 連続ドラマ『北の国から』放送開始(〜1982年3月) |
| 1982年 | 倉本さんが『北の国から』の脚本などで路傍の石文学賞を受賞 |
| 1983年〜1989年 | スペシャル『’83冬』『’84夏』『’87初恋』『’89帰郷』 |
| 1984年 | 倉本さんが「富良野塾」を創設 |
| 1992年〜1998年 | スペシャル『’92巣立ち』『’95秘密』『’98時代』 |
| 2002年9月 | 最終作『2002遺言』放送。シリーズ完結 |
| 2021年3月24日 | 黒板五郎役の田中邦衛さんが死去 |
| 2022年6月 | 「五郎の石の家」に黒板五郎の墓が完成 |
| 2024年4月1日 | 第1話で黒板家が降り立った布部駅が廃駅に |
| 2025年3月11日 | 令子役のいしだあゆみさんが死去 |
| 2026年8月9日 | 富良野演劇工場で放送開始45周年を祝うステージ。倉本さんが五郎の「遺言」を朗読 |
| 2026年9月18日 | 倉本聰さんが91歳で死去(9月28日に倉本財団が発表) |
| 2026年11月3日 | 富良野演劇工場で「お別れの会」予定 |
(出典:モデルプレス(NewsCafe)、シネマトゥデイ、サンスポ)
倉本さんの訃報の詳細や、さだまさしさん・本木雅弘さんらの追悼の言葉は、こちらの記事でまとめています。
▶ 脚本家・倉本聰さん死去 91歳|『北の国から』の巨匠、さだまさし「大恩人でした」本木雅弘らが追悼
受賞歴
| 作品 | 主な受賞 |
|---|---|
| 北の国から(連続ドラマ) | テレビ大賞/路傍の石文学賞(倉本聰、1982年) |
| ’87初恋 | 文化庁芸術祭 芸術作品賞(テレビドラマの部) |
| ’92巣立ち 後編 | 文化庁芸術祭 芸術作品賞(テレビドラマの部) |
| 2002遺言 | 第21回向田邦子賞(倉本聰)、第34回ザテレビジョンドラマアカデミー賞 ザテレビジョン特別賞、第10回橋田賞 10周年特別顕彰 |
ロケ地・富良野の『北の国から』ゆかりの場所
ドラマの放送後、過疎の地域だった麓郷には観光客が訪れるようになり、最終作が放送された2002年度には249万人が富良野を訪れたと報じられています。今も作品の世界に触れられる場所があります。
- 麓郷の森:初代の丸太小屋(移築)や、3番目の家(復元)がある
- 五郎の石の家:『’95秘密』から『2002遺言』まで五郎が暮らした家。敷地内には「最初の家」の復元や、2022年に完成した黒板五郎の墓もある
- 拾って来た家:『2002遺言』に登場した、廃材で建てた家々が並ぶ場所
- 布部駅:第1話で黒板家が降り立った駅。倉本さんの筆による「北の国 此処に始る」の碑が建てられた。駅は2024年4月1日に廃止
営業期間や入場料は季節によって変わるため、訪れる際は富良野市や各施設の公式情報を事前に確認してください。11月3日には富良野演劇工場で倉本さんの「お別れの会」も予定されています。
『北の国から』を今見る方法
2026年9月時点では、FODプレミアムで連続ドラマ全24話とスペシャル全8作が見放題で配信されています。Amazonプライム・ビデオでは、FODチャンネルを追加すると視聴できます。U-NEXTやNetflix、Huluでは配信されていません。(出典:VODコンパス(2026年9月17日時点))
- 配信:FODプレミアム(見放題)/Amazonプライム・ビデオ(FODチャンネル)
- レンタル:TSUTAYA DISCAS(DVD宅配レンタル)
- 購入:DVD・Blu-ray(連続ドラマ、各スペシャル)
配信状況は変わることがあります。見る前に各サービスの公式サイトで最新の配信状況を確認してください。倉本さんの訃報を受けて、追悼の再放送や特集が組まれる可能性もあります。
初めて見る人におすすめの見る順番
全部見ると、連続ドラマ24話にスペシャル8作。なかなかの長旅です。目的別に3つのパターンを考えてみました。
パターン1:全部、放送順に見る(王道)
連続ドラマ → ’83冬 → ’84夏 → ’87初恋 → ’89帰郷 → ’92巣立ち → ’95秘密 → ’98時代 → 2002遺言。純と螢と一緒に21年を生きる、いちばん贅沢な見方です。子役が大人になっていく時間を丸ごと味わえるのは、この順番だけです。
パターン2:時間がない人はスペシャルだけ
連続ドラマは少し長いと感じる方は、’83冬から見始めても大丈夫です。スペシャルには毎回、過去の回想シーンが入るので、人間関係は自然と分かっていきます。
パターン3:「名作3本」だけ先に
’84夏(ラーメン屋)→ ’87初恋(泥のついた一万円札)→ ’92巣立ち(誠意とは何か)。シリーズの名場面として語られることが多い3本です。ここでハマったら、連続ドラマに戻って最初から見るのもおすすめです。
『北の国から』が残したもの
便利さとお金を手放し、自分の手で水を引き、電気をつくり、家を建てる。『北の国から』が描いたのは、1980年代の日本が猛スピードで失いつつあったものでした。「誠意とは何か」「家族とは何か」「自然とどう生きるか」。倉本さんがこの作品に込めた問いは、45年たった今でも、少しも古びていないように思います。
五郎を演じた田中邦衛さん、令子を演じたいしだあゆみさんも、もうこの世にはいません。そして生みの親である倉本さんも旅立たれました。それでも作品は残り、これから初めて麓郷の物語に出会う人もいるはずです。久しぶりに見返せば、子どもの頃には分からなかった五郎の気持ちが、今なら分かるかもしれません。
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まとめ
- 『北の国から』は倉本聰さん脚本、田中邦衛さん主演のフジテレビ系ドラマ。1981年の連続ドラマ全24話から、2002年の『遺言』までスペシャル8作が作られた
- 北海道・富良野の麓郷を舞台に、黒板五郎と純・螢の21年間を、子役の実際の成長とともに描いた
- 視聴率は連続ドラマ平均14.8%から始まり、最終作『2002遺言』前編で最高の38.4%を記録
- 名場面は’84夏のラーメン屋、’87初恋の泥のついた一万円札、’92巣立ちの「誠意とは何か」、2002遺言の五郎の遺言など
- 音楽はさだまさしさん。スキャットの主題歌は北海道を象徴する曲になった
- 2026年9月時点、FODプレミアムで全作品見放題。DVD・Blu-rayやシナリオ本でも楽しめる
倉本聰さん、たくさんの物語をありがとうございました。心よりご冥福をお祈りいたします。
よくある質問
『北の国から』は全部で何作品ありますか?
連続ドラマ(全24話)が1作と、ドラマスペシャルが8作の、合わせて9作品です。スペシャルは’83冬、’84夏、’87初恋、’89帰郷、’92巣立ち、’95秘密、’98時代、2002遺言です。
『北の国から』を見る順番は?
放送順に、連続ドラマ → ’83冬 → ’84夏 → ’87初恋 → ’89帰郷 → ’92巣立ち → ’95秘密 → ’98時代 → 2002遺言と見るのがおすすめです。物語の時間と子役の成長が重なっているため、放送順がいちばん楽しめます。
『北の国から』の最終回はどの作品ですか?
2002年9月6日・7日に前後編で放送された『北の国から 2002遺言』が最終作です。
『北の国から』で視聴率が一番高かったのは?
『2002遺言』前編の38.4%がシリーズ最高です。後編も33.6%を記録しました。
『北の国から』の脚本は誰ですか?
原作・脚本はすべて倉本聰さんです。倉本さんは2026年9月18日に91歳で亡くなりました。
黒板五郎を演じたのは誰ですか?
田中邦衛さんです。田中さんは2021年3月24日に亡くなっています。
純と螢を演じたのは誰ですか?
純は吉岡秀隆さん、螢は中嶋朋子さんです。2人は子役として連続ドラマに出演し、2002年の最終作まで同じ役を演じ続けました。
『北の国から』のロケ地はどこですか?
北海道富良野市の麓郷地区が中心です。麓郷の森や五郎の石の家、拾って来た家などが観光スポットとして残っています。『2002遺言』では知床の羅臼も物語の舞台になりました。
『北の国から』の主題歌は誰の曲ですか?
さだまさしさんの「北の国から〜遥かなる大地より〜」です。作曲・スキャットともにさださんが担当しています。
「子供がまだ食ってる途中でしょうが」はどの作品のセリフですか?
『北の国から’84夏』のラーメン屋の場面で、五郎が店員に向かって言うセリフです。
泥のついた一万円札が出てくるのはどの作品ですか?
『北の国から’87初恋』のラストシーンです。五郎が運転手に渡した泥のついた一万円札を、運転手が「お前の宝にしろ」と純に託す場面として知られています。
「誠意って何かね」はどの作品ですか?
『北の国から’92巣立ち』で、菅原文太さん演じるタマコの叔父が五郎に向けて問いかける言葉として知られています。
『北の国から』は今どこで見られますか?
2026年9月時点では、FODプレミアムで連続ドラマ・スペシャル全作品が見放題で配信されています。Amazonプライム・ビデオのFODチャンネル、DVD・Blu-rayでも視聴できます。配信状況は変わることがあるため、各サービスで最新情報を確認してください。
『北の国から』に続編はありますか?
『2002遺言』をもってシリーズは完結しており、その後の続編は制作されていません。
倉本聰さんのお別れの会はいつですか?
2026年11月3日に、北海道・富良野演劇工場で「お別れの会」が予定されています。詳細は倉本財団の公式サイトで案内される予定です。



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